労務ぷらんコラム

【就業規則】記事一覧

とある社労士の就業規則コラムSS 10(引継いでから辞めなさい)

2014.07.17

神戸の就業規則社労士の井上です。

退職する前には、引継いでから辞め欲しいのですが、

その際、気になる点を挙げておきました。

 

【引き継ぎ不足を理由とした退職金不支給は難しい】

退職金制度がある会社において退職金を支払わないためには、

まず退職金規定に「○○という場合には不支給にするとの明示」があることが前提となります。

そのうえで、退職金を不支給とする場合には、「会社に重大な不利益を及ぼす行為があった」と認められなければなりません。

今回のように「十分な引継ぎをしなかった」ことは、会社に重大な不利益を及ぼす行為

とまでは認められない為、不支給は無効となると思われます。

 

【減額は可能だが、その程度には制限がある】

退職金の減額は規定として定めておけば可能です。

しかし、十分な引継ぎをしたかどうかは会社と社員で解釈が異なるため、

判断が難しく、減額できたとしても10%程度までしか認められないでしょう。

 

【引き継ぎ期間】

期間の定めのない契約は、民法上原則として退職を申し出てから14日以上経過すれば

退職が成立します。ということは、「退職申し出から14日後に退職されてしまうこと」を想定して、

14日で引継ぎが完了するような引き継ぎマニュアルを整備しておく必要があるでしょう。

 

【退職前に有給休暇を消化したいと言われたら拒否は難しい】

一般常識的には1ヶ月から数か月の引き継ぎ期間を設けて引き継ぐべきでしょうが、

感情的な対立などにより退職する場合にはうまく引継ぎができない場合も出てきます。

例えば14日間の間に有給を取得したいと申し出があれば、会社側が拒否することは難しいでしょう。

退職日まで無断欠勤した場合は、規定の定めがあれば退職金の減額を行うことが

可能な場合もありあますが、引継ぎは行ってもらえません。

特定の社員にしか行えない作業が多い場合、引継ぎの量も多くなり、

引継ぎが行えなかった場合の影響も大きくなります。

代替要員でも作業が滞らないような業務体系を作っておくことが大切ですね。

 

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とある社労士の就業規則コラムSS 9(採用の自由)

2014.07.14

神戸の就業規則社労士の井上です!

 

昔、厚生労働大臣が岩波書店に「縁故で採用し、職業選択の自由の権利を奪っている」とし、

調査したことがありました。

労働新聞にも「大臣は何を言っているのかわからない」と記事になりましたが、

何故かというと?

そもそも、企業には「採用の自由」が保障されています。

例えば、体力を使う業務には、体力のある人を採用したいわけじゃないですか!?

体力のある人と無い人が、採用試験に来たら、体力のある人を採用するのは、当然と言えます。

そこで、健康な人を募集とし、健康状態を採用試験時に調査するのは合法でしょうか?違法でしょうか?

 

採用を労働力の提供を受ける以上、応募者の健康状態は会社側にとって重大な関心ごとです。

健康状態や通院歴を尋ねることはプライバシーの観点から気が引けることもあります。

しかし、そもそも会社は「健康に働けること」を前提にして雇い入れ時の賃金を設定しているはずですから、

本来は会社が「健康な人を雇う」という条件を付することには何ら問題ないはずです。

 

例えば、日本との寒暖差が激しい海外での勤務が想定される場合には、

それなりの体力と健康状態が求められるでしょうし、

車を運転する業務であれば、てんかんなどの発作を発症する病気を持っている場合は

勤務にふさわしいとは言えないでしょう。

 

つまり、自社で求める働き方にふさわしい健康状態であるか否かは選考の際に確認しても

原則としては問題になりません。

 

ただし、メンタル面での病歴については慎重な聞き方をする必要があります。

健康診断結果だけではメンタル面の不調は必ずしもわかりませんので、

「過去○年間に通院したことがありますか?ある場合は疾病名を記入してください」など

補助的な確認書類の提出を求めて、精神疾患も含めた過去の病歴を確認してはいかがでしょうか。

 

ちなみに、職業安定法第5条4では、

社員を募集するにあたって、業務の目的の達成に必要な範囲内で個人情報を収集することができる」と

定めてあり、健康状態も必要な情報一部と解されます。

また、個人情報保護法は、収集した個人情報を「どのように管理するか」を制限する法律ですので、

情報を収集する行為に対する制約をつけるものではありません。

 

就職差別にならないように気を付けつつ、会社が求める健康状態に適う人材採用をしましょう。

 

企業は人なり!

 

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とある社労士の就業規則コラムSS 8(連絡がつかない社員を)

2014.07.08

神戸の就業規則社労士:井上です。

以前も似たようなことを書きましたが、無断欠勤について、書きます。

いるんですわ!

勝手に他の会社に勤め始めたとか!?

無断欠勤した従業員が自宅にいないとか!?

 

さて、従業員の無断欠勤状態が続いた場合、会社として業務上はもちろん、

給与や社会保険資格などの面でも取扱いに困ることになります。

まず無断欠勤は許されないことをしっかりと教育すべきですが、

無断欠勤者への対応として会社は以下の点を注意しましょう。

 

1、就業規則に無断欠勤に関する条文を規定すること

前提として、

無断欠勤が14日以上続いた時は、退職の意思があるものとして自然退職の扱いとする

などの文言を就業規則に定めておくと、

当該日が経過したときにその規定に則って手続きをすすめることができます。

 

2、退職の意思確認をすること

従業員本人に、就業意思があるかの確認をしましょう。

メールや電話、あるいは自宅訪問等、連絡がとれる可能性のある手段で行い、

それを記録として残しておきます。(これ、重要です!)

文書連絡であれば、「連絡が欲しい。このまま連絡がとれないと、自然退職として取扱いせざるをえない」

等の内容にして、会社側が連絡を取ろうと試みた形跡を残しておくことが肝心です。

郵便の場合は、記録郵便にしてください。

それでも連絡がとれないようならば、事前に定めたルール(就業規則等)に則り、

日数が経過したら自然退職として処理します。

 

ちなみに無断欠勤に対して「解雇」という取扱いをするのはできれば避けたいところです。

解雇となると労働契約法などの規定による

解雇権濫用法理:合理的かつ社会通念上の相当性がない解雇は無効」に照らし合わせて妥当か否かを判断されることになり、

万が一退職をめぐってトラブルになった場合、解雇の高いハードルが会社に不利に働く可能性があります。

 

3、給与の払い方

給与を本人の口座に振り込んでいるならば、給与支払日には口座に振り込みます。

また、直接手渡しで行っている場合には、

「○月○日に給与を支給するので、会社までとりにきてください」という内容の文書を送ると良いです。

(むふふ、この手口は、しばしば使いますねぇ)

こちらで、会社は残りの給与を支払う意思があるのだと伝えることができます。

 

退職に関する取扱いはしばしばトラブルにつながりますので、慎重に行ってくださいね。

 

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とある社労士の就業規則コラムSS 7(研修時間は労働時間)

2014.06.30

社員研修時間については「実際の業務をしていないから労働時間でない」と当然に言えるものではありません。

 

ポイントは「参加が強制かどうか」

社員研修時間が労働時間かそうでないかを判断する上では、その研修が「参加強制であるか否か」が大きなポイントになります。

社員研修が、皆が必ず参加しなければならない強制参加の研修であれば、それは原則として労働時間とみなされるでしょう。

一方で参加希望者だけを募る自由参加の研修であれば、労働時間とならないでしょう。

 

ただし、「自由参加」としておきながら、皆が参加しなければならない雰囲気を会社側が作っていたり、参加しないことで給与査定が悪くなったりする等、

実質的に参加を強制されている状況であれば、その研修時間は労働時間としてみなされます。

 

研修時間中の給与支払いについて

強制参加の場合、研修時間=労働時間ですので、当然に給与を支払う必要があります。一方で参加を強制されない研修については、原則として給与を支払う必要はありません。

 

3、研修時間の考え方

社員研修が強制参加の場合、その労働時間は、「会社に拘束されている時間」が基準となります。例えば、皆で集合してから研修場所へ向かう場合は、集合時刻から労働時間となる可能性がありますが、一方参加者が各々で現地へ集合する場合には、研修開始時刻が始業時間となります。また当然ながら、通常の労働時間と同じく、1日8時間を超えた場合は残業代がつきます。

 

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とある社労士の就業規則コラムSS 6(パート法の改正)

2014.06.26

神戸の就業規則社労士の井上です♪

 

またまた、こんな質問を受けました。

正社員とパートの福利厚生は、全く同じにしなくてはいけないか?

なるほど!

これについては、改正もありましたので、しっかり見ていきましょう!

 

パート労働法が改正され、パート社員の差別的取り扱いが禁止されましたので、

パートタイム労働者の差別的な取扱いをすると労働基準監督署から是正指導を受ける

可能性があります。

(えらいこっちゃ!)

 

ただ、ここで差別的取扱いを禁止されているのはすべてのパートではなく、

「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」に該当するものだけです。

(これ重要!)

その「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」に該当するかどうかは、

以下の3点から判断されます。

 

①    職務内容が同じであるか

仕事の内容、責任の程度、期待される業務等から判断されます。

 

②    転勤やその他人事異動の取り扱いが同じであるか

正社員には転勤範囲に制限がなく、パートには制限が設けられていたとしても、実質的に差がない場合には同一と判断されます。

 

③    契約期間に期間の定めがないか

有期契約であったとしても、何度も更新された場合には、期間の定めがない契約と判断されます。

 

 

3点ともすべて正社員と同じ場合は、パートであることを理由としての差別的取扱いが禁止されます。

別の言い方をすれば、1点でも正社員と異なっていれば、差別的取扱いとはみなされないことになります。

職務内容が同一であるパートがいたとしても、「人事異動の有無や範囲」までも正社員と同一ということはほとんど考えられません。

そのため、パートと正社員に賃金格差があったとしてもただちに是正指導を受けることは少ないでしょう。

 

ただし、会社は、処遇を公正にしようとするなら、仕事の能力に合わせて賃金設定をすべきでしょう。

その意味では、「パートだから」という理由での賃金格差が本当にふさわしいことかを

確認してみることは労務管理上必要であると言えます。

 ということは、雇用のことだけを考えるのでなく、採用の方法も考えるべきです。

パート⇒無期雇用⇒正社員というキャリアパス制度も活用し、助成金も頂きたいですね。

 

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とある社労士の就業規則コラムSS 5(御用だ!御用だ!)

2014.06.15

神戸の就業規則社労士:井上ですよん♪

この様な、ご相談を受けました。

 

「ある者が金庫をいじると、現金が足らなくなる」

現行犯でないと、逮捕できないですが、本人と話し合った結果、

退職していただきました。

この様な問題って、まれにあるんですよ!

そこで、金銭的トラブルでの解雇や退職について、考察しました。

 

 

 

解雇に対するハードルの高さ

労働基準法および労働契約法では、解雇には客観的合理性と社会通念上の相当性が必要であり、

それらがない解雇は解雇権濫用として無効とされます。

わかりやすく例えると、10人に聞いて9人程度が

『これは解雇止む無しだ、解雇する以外にない』というほどの理由がなければ、

解雇は難しいということだと考えたほうがよいでしょう。

 

金銭的不正に対しては厳罰傾向がある

そんななか、判例上は「従業員の着服、横領など金銭的な不正」については、

金額の多少にかかわらず厳格な判断をする傾向があります。

会社の備品を横領したり、不正経理などにより自己の便宜を図るような行為については、

懲戒解雇有効とされた判例がいくつもあります。

 

証拠をつかむための身辺調査はどの程度許される?

もちろん、懲戒解雇をするためにはその証拠がなければなりません。

そこで、不正現場を抑えるために探偵を雇って身辺調査をしたり、

ビデオカメラを設置することは問題ないのでしょうか。

このような身辺調査や監視については、なんでも許されるものではなく、慎重に行う必要があります。

裁判では、会社側の対応に信義の点で問題がなかったかも考慮されます。

例えば、個人のプライバシーを著しく害するような方法、

高圧的な方法等での調査は「不正調査としてもやりすぎだ」という判断をされる恐れがあります。

 

例えばロッカールームで盗難が相次いだ場合に監視カメラを設置するならば、

その設置を周知し、さらにロッカールームが女性のものであれば、

映像確認も女性がするなどの配慮をしつつ慎重に行うべきでしょう。

 

 今回の場合は、時間ごとに現金チェックをしたようですし、

また、その者は他にも不満を言っていたようですので、厳密には試用期間から本採用にならない

ということを30日前に通知したところ、本人が即退職を申し出ました。

 

お金って、怖いですよねぇ。

皆さんの会社は、こんな人いないですよね!

 

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とある社労士の就業規則コラムSS 3(就業規則提出への道)

2014.05.22

神戸の就業規則社労士の井上です♪

就業規則を作成したら、監督署へ提出しなければなりませんね。

ただし、10人以上の会社ですが!

 

就業規則の作成と届け出について、今一度確認しましょう!

 

事業場単位(←これ重要)で10人以上の場合、作成は必須

 

パートタイマー・アルバイトを含め常時10人以上が働いている事業場では、

就業規則は必ず作成しなければなりません。

その際に、

①必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)と、

②会社で定めてある場合には必ず記載しなければならない事項(相対的必要記載事項)があります。

具体的に、どのようなことを記載しなければならないかは下記のようになります。

 

①   絶対的必要記載事項

ア、始業・終業の時刻

イ、休憩時間・休日・休暇

ウ、交代勤務がある場合、就業時転換に関する事項

エ、給与に関する事項

オ、退職に関する事項(解雇の事由を含む)

 

②  相対的必要記載事項  (記載例)

ア、退職手当に関する事項

イ、安全・衛生に関する事項

ウ、表彰・制裁に関する事項

エ、臨時の給与・最低賃金に関する事項

オ、事業場の従業員すべてに適用される決まりごと

 

◆インターネット等で出回っているひな形の使用は危険

就業規則は業種や企業規模によって、実態に即したものを作る必要があります。

また、インターネット等で出回っているひな形や、他社のものを流用すると、

労働者の権利ばかりを過剰に保護するバランスを欠いたものになる恐れもあります。

社労士などの専門家に依頼し、実態に即したふさわしい規定づくりをしましょう。

 ↑すごく重要(笑)

 

◆作成後にすべきこと

1、従業員へ周知

就業規則を作成、変更を行ったらまずは従業員へ内容を周知します。

方法としては、閲覧でもよいですし、従業員を集めて説明会を開くのも良いかと思います。

 

2、従業員代表の意見を聴く

就業規則を従業員へ周知したら、従業員の過半数が選んだ従業員代表の意見を聴き、

意見書にその「意見」を記載し、署名捺印をもらいます。

この時、万が一従業員に反対されたとしても、あくまでも「意見を聴く」に留まるので、

反対だという意見をもらえればそれで問題ありません。

ここでは、従業員代表の「納得」までは求められていないのです。

 

3、労働基準監督署に届け出

 

届けるものは、以下の3点です。(原本とコピーを持参してコピーに受領印をもらい、会社に備えておきます)

 

・就業規則(変更)届

・意見書

・就業規則

以上で、就業規則の作成から届け出までの一連の流れが終了となります。

会社にしっかりとしたルールを作成することにより、従業員が気持ちよく働けることとなるでしょう。

  



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新約 とある社労士の就業規則コラム 7(労災適用)

2014.04.05

皆さん、こんにちは!

就業規則社労士の井上です。

昔々、こんなことがありました。

当時勤務していた事務所に、午前中、ある会社の総務課長が訪ねてきて、

「聞きたいことがあるので、お茶でもしようや!」ということで、

喫茶店でお茶をしながら、その会社で雇用しておられる障害年金2級の女性のことで、相談を受けました。

その後、勤務先の事務所で分かれて、午後、その課長さんが休憩していると、動かなくなったそうです。

何故?

脳内出血だそうです。

なんと、本人が障害1級になる皮肉なことに……

 

休憩時間なので、労災ではなかったのですが、ここ最近、脳疾患・心疾患が多い時代です。

そのことについて、まとめました。

 

仕事中に脳疾患・心臓疾患などで倒れてしまった場合、会社としては、

まず労働者の安全確保や救急の手配をしなければなりませんが、

その病気と仕事に因果関係が認められている場合は、当該病気について労災が適用となりえます。

 

原則として、突然倒れてしまうような脳梗塞や心筋梗塞などの、

長年の生活習慣や食生活が大きく影響する病気については、

その生活習慣や既往症、ならびに直前の勤務状態等を総合的に判断することになります。

 

会社として注意しなければならないのは、

やはり「病気と「過労」との間に相当の因果関係が認められる場合」です。

長時間の残業や休日出勤が続いた結果倒れてしまった場合、労災認定をされ、

さらに会社の損害賠償責任が生じる可能性もあります。

 

脳疾患・心臓疾患に対する労災認定基準は次の通りです。

 

  1. 発症直前から前日までの間において、発症状態を時間的・場所的に明確にし得る異常な出来事に遭遇してこと。
  2. 発症に近接した時期において、特に過重な業務に就労したこと。
  3. 発症前の長時間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと。

 

なかでも最も明確な判断指標が労働時間(残業時間)です。

現状、月に45時間以上の残業が発生すると、脳疾患や心臓疾患発症の「関連性が強まる」とされています。

残業時間について、2~6か月平均で80時間以上か、

1か月に100時間以上となると「関連性が強い」とみなされます。

 

会社には「労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、

必要な配慮をするものとする」という安全配慮義務があり、

損害賠償責任が発生しうるのはこの安全配慮義務違反が認められる場合です。

安全配慮義務違反を問われないよう、

会社としては適切に労働時間を把握管理する必要があることを心がけましょう。

 

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新約 とある社労士の就業規則コラム 6(労災未加入)

2014.03.29

就業規則社労士の井上です。

 

労働者を1人でも雇っている事業主は労災保険の加入手続きを行わなければなりません。

まあ、当たり前ですなぁ(笑)

この労災保険手続きを行っていない場合、事故発生で思わぬ費用を払わなければならないことがあります。

 

労災保険の加入手続きとは、「労働保険関係成立届」を労働基準監督署に提出することですが、

この手続きを行っていなかったとしても、労災事故が起きた場合は「労働者保護の観点」から保険は適用されます。

つまり労働者は労災保険の給付を受けることができます。

では、事故が起きるまでは加入しなくても良いのではと思ってしまうかもしれませんが、

未加入時に事故が発生した場合、会社に対してペナルティが課せられます。

 

パナルティは遡って保険料を徴収する他に、

給付を受けた金額の40%又は100%を事業主から徴収します。

 

<「故意」に手続きを行わなかった場合>

労災保険の加入手続きについて行政機関から指導等を受けたにも関わらず、

手続きを行わない期間中に事故が起きた場合、「故意」と判断されます。

「故意」と判断された場合には、保険給付額の100%が徴収されます。

 

<「重大な過失」により手続きを行わなかった場合>

労災保険の加入手続きについて行政機関から指導等は受けていないものの、

労災保険の適用事業となってから1年を経過し、手続きを行わずに事故が起きた場合、

「重大な過失」と判断されます。この場合には、

保険給付額の40%が徴収されます。

 

 

例:

行政機関から加入の指導は受けていなかったが、労災加入手続きを行っていなかった会社で、

賃金日額1万円の従業員が労災事故で死亡し、遺族に労災保険から遺族補償一時金が支給された場合。

 

遺族補償一時金(1万円(賃金日額)×1000日分)×40%=400万円

 

ペナルティの額が想像以上に高額になることもあるので、未加入の場合は早急に手続きを行いましょう。

また、労災保険は場所ごとに適用になるので、支店を開設した場合の手続きも忘れずに行いましょう。

 

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新約 とある社労士の就業規則コラム 5(パートを甘く見るな)

2014.03.06

就業規則社労士の井上です!

 

パートタイマーを甘く見ている経営者が多いのではないでしょうか!?

例えば、残業代を時給分だけ払っているなんてことはありませんか?

今回は、パートタイマーの割増賃金について、考えてみましょう。

 

○パートタイマーの給与支給について、1日8時間、週40時間までは、

通常の時給支払で問題ありませんが、越えた場合は割増賃金の支払いが必要となります。

 

正社員の残業管理を行っていても、パートやアルバイトの残業は見落としがちです。

パートの給与計算を行う際に「月の総労働時間×時給」と計算していないでしょうか。総

労働時間のみで単純に計算してしまうと、

1日8時間以上、週40時間以上働いた場合には未払い賃金が発生してしまいます。

 

<計算例1>

時給1000円、通常6時間労働、1日10時間労働した場合。

1000円×8時間=8000円

1000円×2時間(8時間を超えた分)×1.25(割増賃金)=2500円

計:10500円

 

通常労働時間は6時間ですが、法定労働時間の8時間までは通常の時給で問題ありません。

8時間を超えた2時間分が割増賃金の対象になります。

 

<計算例2>

時給1000円、月曜日から土曜日まで毎日7時間労働した場合。

6日×7時間=週42時間

1000円×40時間=40000円

1000円×2時間(40時間を超えた分)×1.25(割増賃金)=2500円

計:42500円

 

1日8時間を超えていないため日の割増賃金は必要ないと思われがちですが、

週42時間となる為、2時間分の割増賃金が発生します。

 

○掛け持ちでパートをしていた場合、法律上は各労働時間を合算しなければなりません。

A事業所で4時間労働した後、B事業所で5時間労働した場合には、

B事業所は1時間分の割増賃金の支払いが必要となります。

そんなことを言われても!と思われると思いますが、法律上はそうなっているのですよ!

気を付けてくださいね!

 

 

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