労務ぷらんコラム

【就業規則】記事一覧

進撃の社労士 11(時間単位の有給休暇)

2015.12.22

進撃の社労士こと、神戸の井上です。

 

労働基準法で、年次有給休暇の最低ラインが決められていますが、

どの程度取得していますか?

取得率を挙げたい企業様は、時間であたえるのは如何でしょうか?

 

まず、年次有給休暇(以下、「年休」)は「日」を単位に与えるの が原則ですね。

 

昔は「1労働日」未満に分割して与えることは不可とされていましたが、昭和63年の厚労省通達で「年休は請求に応じて半日単位で与えてもよい。」 とされました。

更に、平成22年5月施行の改正労働基準法では「時間単位年休」が可能になりました。

ただし、このような 1 日未満に分割した年休制度を整えることは会社の義務ではありません。

会社は「通院したいので2時間だけ有給休暇を取りたい」と申し出があった場合でも断ることもできます。

とはいうものの、時間単位で有給休暇を取りたいという社員の希望が実際にはあるでしょう。

 

時間単位年休を導入する上で留意すべき点は、

①労使協定の締結が必要(届出は不要)、

②時間単位年休は「年間 5 日を上限とする」、 という 2点です。

(前述の「半日」年休には法律上、労使協定締結の必要性や取得回数の上限等はありません)

 

 

1、労使協定について:

労使協定で定めるべきことは以下の通りです。

1.対象労働者の範囲

2.時間単位で与えることができる年休の日数(年間5 日 以内に限る)

3.年休1 日に相当する時間数

4.取得単位となる時間(1 時間単位以外の場合)

「対象労働者の範囲」では例えば、事務系社員だけを対象とし、工場ラインの労働者を除く場合はその旨を協定します。

 

「年休 1 日に相当する時間については、

その労働者の「1 日の所定労働時間を下回ることは許されません」から、

例えば1 日の労働時間が 7.5 時間の会社の場合には、端数は切り上げて「8 時間」 とするのがよいでしょう。

取得の単位を1 時間以外にする場合(例えば「2 時間」等)には、その時間単位を協定します。

「時間単位年休」の普及率はまだ高いとはいえません が、

社員にとっては利用するメリットが大きい制度と考えられるので皆様の会社でも導入を検討してみるとよいでしょう。

 

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進撃の社労士 10(働かないのですぐ辞める人の離職票はいるのか)

2015.12.08

進撃の社労士こと、神戸の井上です。

 

先日!?

なかなか、見つからなかった新人を採用できるようになり、ホッとしたところ(@_@)

経営者「働かないのですわ!困っています」

と、相談を受け、対策を考える。

どうやら、働かないうえ、細かな嘘を言うようで、困っているようでした。

採用して、14日以内でしたので、本人と相談の上、14日以内に辞めていただくのがよろしいのではと言うことになりました。

 

さて、そこで、職安でトラブル(泣)

辞めてから、取得届に新規となっているが、前職があるようですので、云々!

 

FAXをくれというから、FAXを送ったら、処理してなかったりで、喪失が出来ない……

まあ、愚痴はさておき、すぐ退職した人に「離職証明書」が必要かと言うことです。

 

雇用保険法上の手続きである「離職証明書」は、

在職中の賃金額や退職理由などをいちいち記載しなければならず、

手続きが多少面倒ですね。

 

入社してすぐ辞めてしまった社員についても「離職証明書」を作成し、届出をしなければならないのでしょうか。

 

 

失業保険のルール

自己都合で会社を辞める場合、基本手当(いわゆる失業保険)を受給するためには要件があります。

被保険者期間が離職日以前2年間に12ヵ月以上なければ基本手当の受給要件に該当しません。

つまり概ね1年以上勤めていない場合、せっかく離職票を作っても失業保険はもらえないように見えます。

 

離職証明書作成届出の基準:

原則論からすれば、資格喪失届に離職証明書を添付することになっており、

基本手当を受給できるかどうか?は関係ありません。

ですから、例えば被保険者期間が1ヵ月未満であっても交付義務はあります。

ただし、本人が離職票の交付を希望しないときは省略することが可能です。

(離職時の年齢が59歳以上のときは高年齢雇用継続給付との関連があるので、交付する必要があります。)

つまり、退職社員に作成希望の有無を確認し、必要ないと言われれば省略、

ただし59歳以上だった場合は希望に関わらず作成するようにしてください

 

 

基本手当がもらえないとは限らない:

ちなみに、1つの会社での在籍期間が1年未満でも、その前の雇用保険期間と合算できることがあります。

直近の会社を1ヶ月で辞め、その前の会社を11か月で辞めた場合などは、

二つの社歴を合算して基本手当がもらえることがありますので、注意が必要です。

 

作成すれば、無難です。

本人が「欲しい」と言えば、必ず作成する必要がありますので、その際は、面倒と言えないということです。

 

何でも欲しい、欲しいというな!

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進撃の社労士 9(ガンになっても働ける職場づくり)

2015.12.01

進撃の社労士こと、

神戸の就業規則社労士:井上です。

 

労働新聞の記事です!

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定期健診に"がん検診"追加――ティーペック(株)「従業員の健康対策」

電話健康相談のパイオニアであるティーペック(株)(東京都台東区、砂原健
市社長、従業員381人)では、

健康経営の観点から、「社員健康促進制度」を展開している。

生活習慣病対策などのほか、

定期健診の受診日は、体が休まるよう健康診断休暇に設定。

昨年からは、健康促進制度の1つである「がん対策」を強化し「がん罹患者のための6つの支援制度」を明文化した。

定期健診に「がん検診」を付加することで早期発見につなげる一方、

罹患者の再発防止に向けて月2回、

がん治療のための休暇制度を立ち上げ、仕事と治療を両立できる仕組みを整備した。

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2人に1人が、がんに罹患する時代です。

フルタイム稼働+残業でなければ、6~7時間勤務可能で抗がん剤を投薬する月2回、休ませてもらえれば、働ける人は多くいます。

そう言った労働力を企業は活用し、患者は収入を得る!

素晴らしい!

ティーペックさんは、こんな会社のようです↓

http://www.t-pec.co.jp/

 

 

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進撃の社労士 8(脱線事故後の懲戒制度)

2015.11.25

進撃の社労士こと、

神戸の就業規則社労士:井上です。

JR西日本の脱線事故は、社労士の先生がお亡くなりになったこともあり、

記憶に残っておりますが、

そのJR西の労働組合がこのような発表を行いました。

今週の労働新聞から

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ヒューマンエラーは非懲戒――JR西労組
05年に福知山線脱線事故を引き起こして以降、

確率的に発生が避けられないヒューマンエラーを非懲戒とする方針を打ち出したJR西日本。

事故の原因究明と再発防止が狙いだが、

同社の労働組合=JR西労組が、「注意事象」以上のヒューマンエラーを懲戒およびマイナス評価の対象から外す内容の提言をまとめ、

制度化をめざした労使の議論が同社で行われていることが分かった。

仮に警察事案となっても社内上の処分は行わない方向で議論されており、早ければ新年度からの新制度スタートがめざされている。

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賛否両論があろうかと思いますが、皆さんは如何でしょうか?

制度にするってのは、どうなんだろうというのが、私論です。

 

 

人は難しい!

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進撃の社労士 【速報】雇用保険料率

2015.11.24

進撃の社労士こと、神戸の井上です。

 

2016年度の雇用保険料率が変更されます。

日経新聞によると

厚生労働省は2016年度から雇用安定や能力開発を目的にした雇用保険2事業に充てる保険料を引き下げる。

今年度より0.05%下げて0.3%にする。

 

とのことで、

 

2015年度が、

一般事業で

労働者 5/1000

事業主 8.5/1000

だったのが、

事業主 8/1000になるということです。

 

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進撃の社労士 7(36協定)

2015.11.19

進撃の社労士こと、神戸の就業規則社労士:井上です。

 

今、36協定(時間外、休日労働に関する協定)を書き終えました。

ひぃぃ、疲れた。

肩が張るぜッ!

折角なんで、36協定について解説します。

 

 

まず!

1週40時間、又は、1日8時間(これらを「法定労働時間」と言います)を超えて勤務させることは、法律により禁止されています。

なので、法定労働時間を超えて勤務させると、労働基準法違反として6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられることになっています。

法定労働時間を超えて勤務させる場合は、書面による協定、いわゆる36協定(サブロク協定)というものが必要で、これを作成して、労働基準監督署に届け出ないといけません。

36協定を労働基準監督署に届け出ることによって、この罰則が免除されます。

つまり、本来は労働基準法違反だけど、この協定を届け出れば、労働基準法違違反でなくなるということです。

このことについて、労働基準法第36条に規定されていることから、「36協定(サブロク協定)」と呼ばれています。

○36協定の限度時間(これ重要)

36協定では、法定労働時間を超えて勤務させることができる時間を決めるのですが、その上限の時間が次のように定められています。(変形労働時間制のぞく)

1週間→15時間

2週間→27時間

4週間→40時間

1ヶ月→45時間

2ヶ月→81時間

3ヶ月→120時間

1年→360時間

なお、これらの限度時間は、法定労働時間を超えて勤務させることができる時間のことで、会社で定めた労働時間を超えて勤務させる時間ではありません。

この規定は働き過ぎの防止、健康確保を目的としたものですので、どこの会社でも共通する「法定労働時間」を基準として決められています。

○36協定で決めた時間を超えて勤務させてしまった場合

36協定で協定した時間を超えて勤務させると違法になります。

また、超えた時間に対する残業手当はきちんと支払わないといけません。

もし、超えた時間に対する残業手当を支払わないと、二重で労働基準法違反になってしまいます。

まあ、特別条項付きなんてものもありますけどね(´・ω・`)

 

 

 

会社員の時は残業というと重苦しい感じでしたが、

独立すると気にもならんですよ!

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進撃の社労士 6(ストレスチェックと職場定着支援助成金)

2015.11.16

進撃の社労士こと、神戸の井上です。

さて、12月から、安全衛生の一環で、

ストレスチェックなるものが実施されます。

詳しくは、こちら!

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150709-1.pdf#search='%E5%8E%9A%E7%94%9F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%9C%81+%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%AF'

これにより、職場定着支援助成金の健康づくりから、

メンタルヘルス相談が助成金の対象外になります。

気を付けてください!

 

 

 

ストレスチェック、やってね!

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進撃の社労士 5(無断欠勤者を解雇する)

2015.11.09

進撃の社労士こと、神戸の井上です。

 

昭和の半ばの話!

ある男性「昔は、無断で2・3日休んで、『すんません!』と言うて、出勤しよったもんやで!」

井上「ええ、ですなぁ」

ある男性「そういう時代やってん。今やったら目くじら立てて……」

 

いやぁ、昭和って良い時代ですよね(*´▽`*)

 

今なら、目くじらものです。

「社会人としての責任が……」とか、言われそうですね。

それは、マンパワーからマシンに頼る時代になり、1人ぐらいいなくてもOKでなくなってきたことによるのではないでしょうか?

1人当たりの業務責任量は、増えております。

 

さて、平成の世の中では、無断欠勤者は問題で、長期になると解雇も考えなくてはいけません。

では、無断欠勤を続けており連絡も取れない社員について、会社としてはすぐにその人を解雇したいところではありますが、それは可能なのでしょうか?

 

解雇とは、法律では「合理性のない解雇は、権利の濫用になるので無効になる」とされ、

就業規則に解雇に該当する例を定めている場合でも、すぐに解雇が認められるわけではありません。

また会社が社員を解雇する場合、

1:少なくとも30日以上前に解雇の予告をするか

2:30日分以上の平均賃金である解雇予告手当を支払う必要があります。

 

では、無断欠勤が「解雇するのに合理性があるか」というと、

「原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合」は、

解雇予告除外認定を受ける基準の一つとされています。

この「解雇予告除外認定」とは、「労働者側が悪いから、解雇予告をしなくてもよい」という認定のことです。

つまり、2週間以上の無断欠勤は解雇にそれなりの合理性があるとみられます

 

しかし、2週間以上無断欠勤が続いているからといって、いきなり解雇をすると、

手続きとして不当であると相手に主張される可能性もあります。

揉め事を避けるため、「一定期日までに連絡が取れない場合には、就業規則の定めに基づいて解雇手続きを行う」という旨の通知をした上で、解雇の手続きを進めるべきでしょう。

電話などで連絡がとれない場合には内容証明郵便等で上記内容を送付しておくとよいでしょう。

 

入社時に実家など他の連絡先が分かる場合、そちらにも連絡を試みて、

あとから「解雇の連絡を受け取っていない」など主張されないように用意してください。

 

 

実家など他の連絡先を確保するためにも、

入社の際は、身元保証人を求めると良いデス!

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進撃の社労士 4(社員を歩合で雇う)

2015.10.16

進撃の社労士こと、神戸の就業規則社労士:井上です♪

 

社員を完全歩合で雇う!なんて、美容室が考えそうな発想ですが、

実際は、どうなんでしょうね?

 

最近では実力主義・成果主義を重視する会社が増えてきましたね。

会社の本音としては利益を生む人材にしかお金を出したくないということでしょう。

完全歩合とはつまり、

働いて成果を上げた分だけ一定の計算によって給料が支払われるというものです。

しかし、日本の法律に照らし合わせてみると、

完全歩合給というシステムは労働基準法違反になってしまいます。

 

 

○完全歩合給は違法か

完全歩合給という労働条件で求人をかけている会社を見ると、

ほとんどの募集条件が「営業」あるいは「販売」であるが、物が売れなければ給料もゼロにしたい、という会社の都合を表していると言えるでしょう。

しかし、日本の法律では利益が全く得られなかったとしても、働いた労働者に給料を支払わないということは許されません。

 

法律では、

「売っただけお金を得ることができるというルールで働いている労働者について、会社はその人が実際に働いた時間分についても最低賃金額以上支払わなければならない」という決まりがあります。

従って、その人のおかげで会社が儲かったかどうかに関わらず、働いた人に対して会社はその分のお金を支払わなければならないのです。

 

○最低賃金額とはどのくらいの金額なのでしょうか。

上記における最低賃金は地域別・職種別に1時間あたりの最低額が決まっています。

従って歩合給の仕事で成果を上げられなかったとしても、

会社は労働時間×最低賃金という最低限の金額を労働者に対して支払う必要があることになります。

 

 

○「最低賃金」ではダメな場合も

会社は最低賃金さえ払っていればよいのかというと、必ずしもそうとは限りません。

なぜならば、

国では「実際の給料とあまり差がないくらいの給料が保障されるように保障給の額を定めるべき」と決めているからです。

 

同じ会社の他の社員に比べて極端に低いような場合は、

法的に問題ありと判断される可能性もあります。

一般的には、休業補償と同じ通常の賃金の60%程度が給料の最低ラインと決められているようです。

 

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進撃の社労士 2(お昼休みの電話対応)

2015.10.08

進撃の社労士こと、神戸の井上です!

 

お昼の食事時に電話がかかってくる!なんてこともありますよね。

そんな時、これは堂々時間でしょうかね?

 

さて、休憩時間と似ているのですが「手待ち時間」と呼ばれるものがあります。

これは,昼休みに電話番をやっているときや、商店・飲食店などで来客を待っている時などをしている時間のことです。

手待ち時間は、法律上休憩時間ではなく労働時間とみなされています。

 

自由に使用できなければ休憩とならない:

昼休みに,職場でお弁当を食べながら電話番をしたという経験がある方もいるのではないでしょうか。

昼休みに電話や来客があった時,社員はすぐに対応しなければならないため,自由な時間とはいえません。

社員が自由に使用できない時間は休憩時間ではなく、手待ち時間=労働時間と見なされます。

このことは、実際に電話がかかってこなかったとしても、

「労働から完全に解放されているわけではない」ため、手待ち時間とみなされるでしょう。

(なお,警察官や消防士などは,その職務の特殊性から手待ち時間が労働時間とみなされない場合があります。)

 

対策

電話番が必要であれば、当番制を取り当番時間分の休憩を別途に与える、

もしくはその当番時間分の賃金を支払うなどの対策が必要です。

(当番制は、労使協定が必要な場合がある)

とは言え人手の少ない中小企業では対策は簡単でないかもしれません。

 

お昼の電話なんて、取りませんよ!

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