労務ぷらんコラム

【就業規則】記事一覧

とある社労士の就業規則コラムⅡ (内定について)

2013.11.05

ワタクシ、井上正宣は神戸の社労士デス!

先日、とある会社のとある就業規則を拝見いたしましたところ!

なんと、内定の規定がないのです。

やはり、いきなりの採用通知でなく、

内定通知→この人は安全と判断→採用通知という、採用保留として使った方が良いです。

ただ、内定も取り消しとなりますと解雇と同様の扱いとなります。

では、詳しく見ていきましょう。

 

 

採用内定を取り消すことはできるのでしょうか?

取消は不可能ではありませんが、

多くの採用内定は労働契約が成立したことを意味しますので、

解雇と同様に慎重に行う必要があります

「採用内定」は、「解約権留保付始期付雇用契約」が成立したものと言われます。

言い換えると、「解約権も残っている、スタート時期を定めた雇用契約」ということになります。

 

採用内定の仕方は様々で、どんな内定でも解約権留保付始期付雇用契約が成立したことは一概に言えませんが、

内定通知に「最終的な採否の決定は追って連絡します」といった

(採用が確定していないような)記載がない限り、雇用契約は成立したものと考えられます。

こうして解約権留保付始期付雇用契約が成立すると、もう使用者は正当な理由なく内定を取り消すことはできません。

なぜなら、雇用契約が成立しているということは、労働基準法上の解雇に関する定めの適用を受けることになるからです。

なお、解雇理由には、合理性および社会通念上の相当性が必要です。

 

 

【採用内定取り消しができる具体例】


判例では、正当な理由とは「採用内定当時知ることが出来ず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らし客観的に合理的と認められ、社会通念上相当と是認することができる」ものとされています。

具体的な例をあげると、次のような場合が考えられます。

 

1.新規学卒者が卒業できなかった場合

2.提出書類などに虚偽の記載があったり、虚偽の事実を述べた場合(虚偽の内容が軽微であるときは、内定を取り消しが認められない場合もあります)

3.採用後の業務に支障が出るほどの健康異常が発生した場合

4.その他不適格事由があった場合(犯罪を犯した等の場合)

  

これらは客観的合理性、社会通念上相当性という原則に照らしてみると、

内定取り消しが認められる可能性が高いでしょう。

しかしこれらの場合でも、内定時に「これらのことがあったら内定取消が起こること」を

相手方に通知しておく等のリスク対策をすることをお勧めします。

 

 

【業績悪化による内定取り消しについて】


たとえば、予定通りの内定者を雇い入れると人件費が経営を圧迫していきづまることが明らかであり、

すでに雇用している社員の解雇を回避するためには、内定取り消しはできるのでしょうか。

この場合は、上記の経営ひっ迫の事実のほか、

内定取り消しを回避するために最大限の努力をしていたこと、

内定のやむなきに至った時点ですみやかに取り消しの補償をするなど、

とり得る措置を尽くす必要があります。

内定取消回避のための努力の程度を見られるということです。

 

景気が良くなると、人を雇いたくなるのが経営者の性ですが、

人を雇うのは慎重に!

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とある社労士の就業規則コラム 10 (退職願と退職届)

2013.10.29

ワタクシ、井上正宣は神戸の社労士です!

先日、「就業規則には『退職願を提出となっています』が、

退職届と退職願は、どう違いうのですか?」と質問を受けました。

さて、何が違うのでしょうか?

「退職届は、公務員が書くものです」と回答するとその方は納得されましたが、

ここでは、具体的に説明しましょう。

 

 

自己都合退職をする場合、

退職を申し出る書面を会社に提出することが日本の雇用関係上慣例となっていますが、

その書面の名称は「退職願」「退職届」のふたパターンあります。

この両者はどのように異なるのでしょうか。

 

退職願

退職願は文字通り、従業員が会社に「退職させて下さい」とお伺いを立てる(お願いする)物です。

従業員からお願いされたことに対して、会社がわかりました、退職意思を受け入れます。

と受理した時点で退職することが成立します。

 

では、会社が退職願を認めない場合は、退職できないかと言うとそういうわけでもありません。

会社が認めない場合であっても、

民法上は「従業員が退職したいという意思表示をしてから2週間たてば退職できる」となっています。

 

この退職願の場合、会社が正式に受理するまでは、

従業員側からの退職願の撤回や、退職日が変更できます。

 

退職届

退職届は従業員が会社に「退職します」と断言する物です。

ここに会社の受理というプロセスはなく、あくまでも従業員の意思のみで退職を決めます。

退職届の場合、退職することは一般に「届出をした日」に確定となりますので、

会社が変更しても構わないと言わない限り、

従業員が退職届の撤回や日付を変更できないことになります。

 

ただし、現実的には退職前に当然行うべき引継ぎがあるはずですから、

相当の期間をおいて退職するよう日付を設定することが常識でしょう。

慣例ではすくなくとも1か月前には届け出ることが多いでしょう。

 

トラブルに発展しそうなときは書面で確認を:

退職について意見が労使間で食い違い、トラブルに発展しそうなときは、

退職願の正式な受理を証明する資料として書面で「退職願受理承諾書」を発行したほうがよいでしょう。

これによって会社が正式に退職願を受理したか証拠として残すことが出来ます。

 

 

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とある社労士の就業規則コラム 9(携帯禁止)

2013.10.22

ワタクシ、井上正宣は神戸の社労士です!


さて、先日、バイトのTwitterの写真投稿が原因で、東京の蕎麦屋が倒産したと新聞記事を見ました。

売上が下がっていたところ、1バイトの非行により、倒産したとのことです。

経営者にとっては、腹の立つことでしょう!

しかし!

自分の周りにも、そんなことしそうなバイトはいませんか?

 

【飲食店や小売店で被害が続出】

コンビニのアルバイト店員がアイス用の冷凍庫の中に入っているところを写真に撮ってSNSに掲載した事件を皮切りに、
最近、飲食店や小売店で類似の事件が相次いで起こっていますね。


中には事件をきっかけに閉店することとなった店舗もあることから、

経営者がこの問題を軽く考えてアルバイトに対する教育や労務管理をおざなりにすることは

経営の存続をも危うくする大きなリスクをはらんでいると言うことができます。

 

【被害を未然に防止するには?】

こうした非行を未然に防止するためには、

就業時間中は業務に集中することとして

1:携帯電話(スマホ)の操作やSNS等へのアクセスを禁じる

2:休憩時間中や就業時間外であっても勤務先の不利益につながるような行為は厳に慎むべきことを教育する

 

カメラがあるから写せるわけですから、カメラそのものを取り上げるのです。

職場に携帯・スマホを持ち込ませない。

それを教育するわけです。

 

さらに、これらのことを職場におけるルールとして徹底するとともに、

就業規則や店舗に備付けの業務マニュアル等にも明記しておく必要があるでしょう。

 

【万が一に備えて就業規則等を確認】

就業規則は、労働基準法により常時10人以上の労働者を使用する使用者に作成が義務付けられているものですが

正社員用の就業規則だけでアルバイト用のものは作成されていなかったり、

アルバイト用の就業規則はあるが規定内容に不備があったりするケースもあります。


また、使用する労働者数が10人未満であることを理由として、そもそも就業規則が作成されていないこともあります。

就業規則が作成されていない、または規定内容に不備があるという場合、

万が一従業員に非行があってもそれを事由とする懲戒処分に付したり懲戒解雇にしたりすることができなくなるおそれがあります

こうした問題を抱える会社では、自社の就業規則をチェックし、作成の仕方や見直しの要否等について検討してみると良いでしょう。

 

今一度、就業規則の点検を!


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とある社労士の就業規則コラム 8 (副業と解雇)

2013.10.16

ワタクシ、井上正宣は神戸の社労士です!

 

さて、とあるアイドルが、といっても27歳らしいですが、

副業をして、事務所を解雇になりましたね。

 

そもそも、社員は副業をしてはダメなんでしょうか?

その辺を考えてました。

 

ズバリ、結論を申し上げると、副業については、法律の制限はありません。

つまり会社が許せば社員が副業を行うことができます。

しかし、社員は労務を提供することで給与をもらっている以上、

健康に注意して良質な労働力を提供する義務があり、

良質な労働力の提供の邪魔になるような副業は、会社の判断で禁止することも出来ます。

 

ですから、副業を禁止する場合、就業規則の服務規定にその旨の文言を明記しましょう

 

○服務規定に入れておくべき内容は以下の通りです。

・健康に留意して、良質な心身状態で勤務するように努めること

・会社の機密、不利益事項を他に漏らさないこと

・会社の許可なく他社の役員、従業員又は個人事業主となり、営利を目的とする業務を行わないこと

・会社の許可なくアルバイトなどをしないこと。ここでいうアルバイトとは、営業上の技術を使用して個人的に報酬を得る行為を含む

 

○ペナルティーについて:

副業が発覚した場合、懲戒処分を行うかについては、次の項目から判断します。

①    副業を行うことで、本業にどのくらいの影響が出ているか

②    競業他社での副業かどうか

③    副業により、自社の秘密漏漏洩の危険性があるか

 

アルバイト等副業行為とあまりに釣り合わないペナルティーをしないように注意する必要があります。

懲戒解雇が有効となるような副業行為は、背任的に自社のノウハウを漏えいさせている場合や、

競業行為を意図的に行うような悪質なものに限られるでしょう。

 

副業を許可制や禁止にしている場合は、パートや短時間勤務者について、配慮が必要となります。

これらの社員は、他社に勤務している確率も上がります。

また、正社員とは違い空き時間を有効活用しているにすぎず、正社員の副業とは解釈が変わってきます。

正社員の副業とは違った基準で、ある程度副業を認めてあげる配慮が必要になります。

 

逆に、副業をすることによるメリットを上げる会社もあります。

① 副業先でマナーや技術を身に付けてきた。

② 社会人としての幅が広がる。

 

 

さて、皆さんは、どうおもわれますか?

副業に賛成ですか?反対ですか?

 

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とある社労士の就業規則コラム 7(賃金支払方法)

2013.10.10

ワタクシ、井上正宣は神戸の社労士です!

 

ここで質問です!

あなたは、何のために働くのですか?

もちろん、お給料のためですね!?

お給料!労働基準法には、賃金と言いますが、今回は賃金の話です。

 

 

賃金の支払い方には様々な種類がありますが、どのような種類があるのでしょうか。

 

【賃金支払い形態の種類】


賃金の支払い形態は、月給制・日給月額制・日給制・時間給制などのように分類されます。

① 月給制(完全月給制)
基本給の額が月額で決定され、欠勤などがあっても減額されることなくその月額で支払われます。

 

② 日給月給制
基本給の額は月額で決定されますが、欠勤や遅刻・早退があると、その日数や時間数分が差し引かれます。

日給月給制のことを単に月給制と呼ぶことも多く、誤解の元となりがちです。日本では、正社員給与の多くがこの「日給月給制」でしょう。

 

③ 日給制
基本給の額が「1日いくら」という日額で決定されます。

その他の手当は月額単位という場合もあり、1ヶ月分をまとめて支給します。

 

④ 時給制
1時間を単位として賃金額が決定され、1ヶ月間の勤務時間数に応じて計算します。

 

⑤ 出来高払い制(歩合制)
労働の結果として出来高により決定されます。

ただし、労働基準法27条に、「出来高払い制その他の請負制(いわゆる歩合給制)で使用する労働者についても使用者は労働時間に応じ一定額の賃金を保障しなければならない」と定められています。

一定額の保障とは平均賃金の6割程度とされています。

 

⑥ 年俸制
個人の年間の賃金総額が、1年を単位として決定されます。

しかし年俸制であっても賃金支払いの原則から、

「12分の1ずつ毎月支給、または16分の1を毎月支給し、残りを賞与時期に支給する」などとします。

 

 

【賃金の控除について】


賃金は全額支払うことが原則ですが、所得税や住民税・健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料の本人負担分は給与から天引きして支払うことが法令で認められています。

また、労使協定を結べば、団体保険の保険料や親睦会費、旅行積立などを控除することもできます。

 

賃金のことなら

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とある社労士の就業規則コラム 6(就業規則変更について)

2013.10.04

ワタクシ、井上正宣は神戸の社労士です!

 

さて、就業規則ですが、会社が一方的に作成するだけでなく、従業員の意見を聴かなければなりません。

 そ こ で ! ?

【労働者の意見をもらう方法】
会社は、就業規則の作成と変更について、以下の意見を聴く必要があります。

  • 事業場の労働者の過半数で組織する労働組合
  • 労働組合がない場合には労働者の過半数代表者

そのため、過半数で組織する労働組合、または労働者の過半数代表者の意見書を就業規則に添付して、

遅滞なく所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。

意見書には法定様式はありませんが、以下の情報を入れましょう。

  • 「意見書」というタイトル
  • 宛先(○○株式会社 代表取締役○○など)
  • 日付
  • 意見の内容
  • 労働者代表者の署名または記名押印

なお、過半数で組織する労働組合、または労働者の過半数代表者の意見書は、

添付するだけで良いとされています。たとえ内容が反対意見であっても構いません。

 

【就業規則の周知とは】
前述のとおり、就業規則は、労働者代表の意見書を添付して管轄労働基準監督署に届出します。

さらに、事業場の労働者に周知した後に効力が出ます。

周知の方法については、以下を参考にしてください。

  • 事務所の棚に備え付ける
  • 就業規則データを会社PCなどに保存し、閲覧可能な状態にしておく
  • 全体の説明会を開催する など

内容を印刷して全社員に配布する必要はありません。

 

【その他、育児・介護休業規程など】
「育児介護休業法」による育児休業及び介護休業に関する事項は、

就業規則の絶対的必要記載事項です。

従って、育児休業及び介護休業の対象となる労働者の範囲や、

取得に必要な手続、休業期間等については、就業規則に記載する必要があります。

また、就業規則に記載すべき休暇には「育児休暇」や「介護休暇」も含まれるため、絶対的必要記載事項になります。

実際には、「育児・介護休業規程」などの別規程を定めて、ここに育児休業などについて記載した上で、就業規則に添付するなどします。

 

【古い就業規則はいつ変更するか】
就業規則を十数年前に作成した後変更などをしていない場合、現行法規通りになっていない可能性があります。

10年前と比べると労働基準法も大きく改正されていますし、企業の労働条件も変更されていると思われます。

変更内容の労働者への説明は当然必要ですが、それに伴い就業規則の変更、所轄労働基準監督署長への届出も忘れずに行う必要があります。

 

労働条件が変更された場合、就業規則の該当部分を変更する必要があります

 

しかし、中小企業の場合はおろそかにされる場合が多々ありますね。

就業規則の変更は労働基準監督署長に届け出る必要もありますが、これを確実に行っている中小企業は少ないと思いますので、必要な手続は確実に行い、就業規則と実態を合わせましょう。

 

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とある社労士の就業規則コラム 5(絶対記載事項)

2013.09.30

ワタクシ、井上正宣は神戸の社労士です!

 

いきなりですが、とある社員から「就業規則に書いてないから、良いのだ!」とか、言われても困りますよね。

なんでも就業規則に書いていれば対処できるのでしょうが、一体、就業規則には、どのような情報を書かなければならないのでしょうかね。

 

【就業規則に記載する情報の種類】
就業規則には、「絶対的必要記載事項」「相対的必要記載事項」の2種類を記載します。

絶対的必要記載事項とは、就業規則に記載が義務づけられている事項、相対的必要記載事項とは、その定めをする場合には記載義務のある事項をいいます。

-----------------------------------------------------------------------------------------------------
<絶対的必要記載事項>
次の事項は、必ず就業規則に記載しなければなりません。

  1. 始業・終業の時刻、休憩時間、休日・休暇、労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合の就業時転換に関する事項
  2. 賃金の決定、計算・支払いの方法、賃金の締切及び支払の時期、昇給に関する事項
  3. 退職に関する事項

-----------------------------------------------------------------------------------------------------
<相対的必要記載事項>
次の定めをする場合には、就業規則に記載しなければなりません。

従って、定めをしない場合は記載する必要がありません

  1. 退職手当の定めをする場合は、労働者の範囲、退職手当の決定・計算・支払いの方法および支払の時期に関する事項
  2. 臨時の賃金等・最低賃金額の定めをする場合は、これらに関する事項
  3. 労働者に食事、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合は、これに関する事項
  4. 安全・衛生に関する定めをする場合は、これに関する事項
  5. 職業訓練に関する定めをする場合は、これに関する事項
  6. 災害補償・業務外の傷病扶助に関する定めをする場合は、これに関する事項
  7. 表彰・制裁の定めをする場合は、種類及び程度に関する事項
  8. 当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合は、これに関する事項

-----------------------------------------------------------------------------------------------------

退職に関する事項(退職年齢など)は絶対的必要記載事項ですが、退職手当(退職金)に関する事項は、その定めがある場合は記載しなければならない相対的必要記載事項です。

従って、退職手当を支給しない場合は、記載する必要はありません。

相対的必要記載事項は、その定めをしない場合は記載する必要はないのです

 

【労働条件の明示義務との違い】
これらの「絶対的必要記載事項」「絶対的必要記載事項」の多くは、雇用契約書などの必要期再事項と一致していますが、例外があります。

下記については、個別の労働契約の際には別途定めなければなりません。

  • 労働契約期間
  • 就業場所(転勤の有無)
  • 仕事の内容

 

以上、就業規則に加えて、雇用契約書についても解説しました。

雇用契約書は、労働条件通知書に変えてもOKですが、この違いは、

・雇用契約書は、労使ともに承認した。あるいは押印した。

・労働条件通知書は、使用者側から一方的に通知した。

という違いがありますので、トラブルを避けるには雇用契約書ですね。

 

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とある社労士の就業規則コラム 4(就業規則作成基準)

2013.09.26

ワタクシ、井上正宣は神戸の社労士です!

いきなりですが……

就業規則は、どのような会社が作成しなければならないのでしょうか。


【就業規則の作成の基準】
就業規則は、すべての事業場で作成を義務づけられているものではありません。

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、

所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。就業規則を変更したときも同じです。

つまり、常時10人未満の会社は就業規則の作成・届出をする必要はないのです。

 


10人未満であっても、例えば以下のような場合は、


【常時10人未満の場合でも就業規則を作ったほうがいい場合】

会社のルールを明確にするため事前に就業規則を作った方がよいでしょう。

  • 労働時間が総じて長く、残業に対するトラブルリスクがある場合
  • 有給休暇や休職について労働者から質問されるなど、ルールの明確化が必要な場合
  • 企業秘密情報の管理ルールを定める必要がある場合 など

 

就業規則を作成する時、具体的に以下のようなリスク対策ポイントがあります。


【トラブル対策としての就業規則】

[ポイント1]労働時間が長い・休日が少ないなど、残業代トラブル
定額残業制度を新たに導入したり、変形労働時間制の導入したりすることで、

残業代を巡ってトラブルになった時に予想外の金銭リスクがないように対策します。

 

[ポイント2]休暇や休職など
年次有給休暇の取得に際して、「会社に事前●日前までに書面で申請する」などのルールを明確にしたり、

「休職」「休職からの復帰」の基準を明確にすることで対策します。

 

[ポイント3]企業秘密情報や競業避止など
会社の重要な情報(顧客の個人情報や技術ノウハウなど)を管理する基準を明確にし、

「規定に違反した者を懲戒する」などを定めて情報漏洩などのトラブルを抑止します。

 

ということで、就業規則は、きわめて重要なアイテムなんですよ。

しっかり、作成しましょう!その際は、社労士に相談してほしいですと、イノウエは心中を露土します。

 

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とある社労士の就業規則コラム 3(賃金規定を作りましょう)

2013.09.25

ワタクシ、井上正宣は神戸の社労士です!

さて、あなたの働く目的って、なんだ?

やっぱ、給与をもらうために働いているんですよね!

給与・賃金を、いきなりダウンする!

それは、許されるのでしょうか?

では、考えてみましょう。

 

就業規則を変更するとき、会社が一方的に賃金などの労働条件を引き下げてよいのでしょうか。

労働条件の不利益変更にあたるため原則としては問題がありますが、程度や状況によっては引き下げも可能です。

 ただし、十分に説明する場を設けるなど慎重に行いましょう。

 

【不利益変更とは】


労働契約法第9条に「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、

労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない」と規定しています。

言い換えると「合意があれば」条件引き下げもできます。

 

社員数が少ない会社であれば個別の労働者と面談し合意を得るべく説得することも可能かもしれませが、

ある程度以上の規模の会社では実質的に不可能となるでしょう。

この場合、規則の変更という形式で社員にアナウンスする事になります。

では、その就業規則変更が有効になるのはどういうときでしょうか。

 

労働契約法10条には以下のように規定されています。
---------------------------------------------------------------------------------------------------
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。
---------------------------------------------------------------------------------------------------

この条文から読み解くと、以下を事前に十分検討した上で引き下げを行う必要があります。

  1. 労働者の受ける不利益の程度が、状況としてやむを得ないかどうか
  2. 労働条件の変更の必要性が本当あるか(主に経済事情、会社の財務状況、著しく世間軒順に逸脱した状態を是正する必要性など)
  3. 変更後の就業規則の内容は、状況として妥当であるか
  4. 説明手順をきちんと踏んでいるか、一方的すぎないか

 

特に賃金引き下げについては反発が予想されますので、

社会保険労務士などの意見を聞きながら慎重に進めて行きましょう。

賃金引き下げで、倍返しなどにならないように!

 

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とある社労士の就業規則コラム 2(無期雇用者の就業形態は就業規則に定めて!)

2013.09.24

ワタクシ、井上正宣は神戸の社労士です!

 

前回、予告した通り、労働契約法による無期雇用となった方の注意点です。

 

有期雇用労働者と5年を超える契約を結んだ時、無期雇用の申込みが出来るわけです。

申込みをされたら、事業主は却下できませんので、5年を超える契約すなわち無期雇用への転換となるわけですね。

 

そこで、無期雇用は困るので、5年未満の契約にされる会社もありますし、また、無期雇用への転換も構わないという会社もあるでしょう。

 

ですが、無期雇用労働者と正社員は別物でしょうか?同じでしょうか?

それは、御社が決めないとトラブルが起こります。

正社員には、賞与や退職金があるが、無期雇用労働者は、どうするのか?

賞与でなく、寸志までにしたい!

退職金は勘弁してもらいたい!

そう考えるなら、それを就業規則に規定するべきです。

いや、労働契約法で有期から無期に転換した者は、原則、同じ労働条件ではないの?

と思われるかもしれませんが、それは、低下させてはいけないと解釈しましょう!?

 

実際、規定していないと、裁判では不利になることもあるそうですよ!

 

具体的には、この様に規定しましょう!

パターン1:就業規則内に「この就業規則の適用範囲」を決めておく。

例:この就業規則の採用項目により採用された者を対象とする。

 

パターン2:労働契約法により無期雇用労働者となった者は、賃金・退職金については、別途定める。

 

私は、パターン2の就業規則を作成しておりますね。

 

 

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